再生医療・幹細胞治療の用語集
再生医療のクリニックの公式サイトには、説明のない専門用語がそのまま並んでいることがあります。 ここでは、判断に必要になる37語を、患者様が読む言葉で整理しました。
用語の意味を説明したものであり、治療の効果や安全性を保証するものではありません。 実際に受けられるかどうかは、必ず医師の診察のうえでご判断ください。
治療と細胞の種類
「再生医療」と呼ばれるものの中身は一つではありません。何を体に入れるのかで、法律上の扱いも費用も変わります。
- 再生医療
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再生医療とは、細胞や組織のはたらきを利用して、損なわれた機能の回復を目指す医療の総称です。日本では「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(再生医療等安全性確保法)に基づき、リスクに応じて第1種〜第3種に分類され、あらかじめ計画を届け出た医療機関だけが提供できます。
- 幹細胞治療
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幹細胞治療とは、さまざまな細胞に分化する能力をもつ幹細胞を採取・培養し、点滴や局所注射によって体内へ戻す治療です。自由診療で行われる場合の多くは、自分自身の脂肪組織などから採取した間葉系幹細胞(MSC)が用いられ、再生医療等安全性確保法上は第2種または第3種に区分されます。
- 幹細胞培養上清液 エクソソーム/上清液
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幹細胞培養上清液とは、幹細胞を培養したあとに残る培養液から細胞そのものを取り除いた液体で、エクソソームなどの細胞外小胞やサイトカインが含まれるとされる成分です。細胞を投与するわけではないため再生医療等安全性確保法の対象外として扱われる場合が多く、その分、施設ごとの品質管理の差が大きい領域です。
- 幹細胞
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幹細胞とは、分裂して自分と同じ細胞を作る能力と、別の種類の細胞に変化する能力をあわせ持つ細胞のことです。
どの組織から採るか、どこまで多様な細胞に変化できるかによって、いくつもの種類に分かれます。
- 間葉系幹細胞 MSC
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間葉系幹細胞(MSC)とは、骨髄・脂肪組織・臍帯などに含まれ、骨・軟骨・脂肪などの細胞に変化する能力をもつ体性幹細胞の一種です。
自由診療の幹細胞治療で用いられるのは、多くの場合この間葉系幹細胞です。
- 体性幹細胞 成体幹細胞
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体性幹細胞とは、生まれたあとの体の組織の中に存在し、その組織を維持・修復する役割をもつ幹細胞のことです。
ES細胞やiPS細胞と違い、変化できる細胞の種類が限られています。
- iPS細胞 人工多能性幹細胞
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iPS細胞(人工多能性幹細胞)とは、皮膚や血液などの細胞に特定の遺伝子を導入して、さまざまな細胞に変化する能力を持たせた細胞のことです。
2026年時点では臨床研究・治験の段階にあり、自由診療で「iPS細胞治療」として提供されるものではありません。
- ES細胞 胚性幹細胞
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ES細胞(胚性幹細胞)とは、受精卵が育った初期段階の胚から取り出した、体のあらゆる細胞に変化する能力をもつ細胞のことです。
胚を用いるため倫理面の議論があり、国の指針にもとづいて扱われます。
- 自家 自家細胞/自己細胞
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自家とは、患者様ご本人から採った細胞を、ご本人に戻すことをいいます。
拒絶反応の考え方が他家と異なるほか、法律上の区分(第2種・第3種)にも影響します。
- 他家 他家細胞/同種細胞
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他家とは、患者様ご本人以外の方から提供された細胞を用いることをいいます。
他人の細胞を用いる場合、再生医療等安全性確保法では原則として第2種に区分され、審査の枠組みが変わります。
- 脂肪由来幹細胞
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脂肪由来幹細胞とは、おなかや太ももなどの脂肪組織から採取した間葉系幹細胞のことです。
採取には局所麻酔を用いた脂肪の採取(数十分程度)が必要で、これ自体が体への負担をともなう処置です。
- 臍帯由来幹細胞
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臍帯由来幹細胞とは、出産後のへその緒(臍帯)から採取した間葉系幹細胞のことです。
提供者と患者様が別人になるため、他家として扱われます。
- PRP療法 多血小板血漿
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PRP療法とは、ご自身の血液から血小板を多く含む成分(多血小板血漿)を分離し、患部に注射する治療です。
幹細胞を投与するものではありません。法律上の区分も幹細胞治療とは異なります。
- エクソソーム
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エクソソームとは、細胞から放出される直径100ナノメートル前後の小さな袋(細胞外小胞)のことです。
細胞そのものではないため、細胞を投与する治療とは法律上の扱いが分かれます。研究段階の領域が多く残っています。
- サイトカイン
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サイトカインとは、細胞から出され、ほかの細胞へはたらきかける情報伝達を担うタンパク質の総称です。
- 分化
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分化とは、幹細胞のように役割が決まっていない細胞が、骨や軟骨などの特定の役割をもつ細胞に変わることをいいます。
法律と手続き
再生医療は、届け出た医療機関だけが提供できます。ここの言葉が分かると、公式サイトのどこを見ればよいかが分かります。
- 再生医療等安全性確保法 安確法
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再生医療等安全性確保法とは、細胞を加工して人に用いる医療について、リスクに応じた手続きと安全性の確保を定めた法律です。
正式名称は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」。2014年施行。
- 再生医療等提供計画 届出番号
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再生医療等提供計画とは、医療機関が再生医療を提供する前に、治療の内容と安全対策をまとめて厚生労働省へ届け出る書類のことです。
受理されると番号が付き、厚生労働省のサイトで一般に公開されます。届出のない医療機関は、届出が必要な治療を提供できません。
- 第1種・第2種・第3種再生医療等
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第1種・第2種・第3種再生医療等とは、再生医療をリスクの高さで3つに分けた法律上の区分のことです。
iPS細胞やES細胞を用いるものなどが第1種、他人の細胞を用いるものなどが第2種、ご自身の細胞を用いる比較的リスクの低いものが第3種にあたります。区分によって審査する委員会の種類と手続きが変わります。
- 認定再生医療等委員会
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認定再生医療等委員会とは、医療機関が届け出る再生医療等提供計画の内容を、提供前に審査する第三者の委員会のことです。
第1種・第2種を審査できるのは、より厳しい要件を満たした「特定認定再生医療等委員会」に限られます。委員会を運営する法人と医療機関が同じグループの場合があるため、どこが審査したのかは確認する価値があります。
- 特定細胞加工物
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特定細胞加工物とは、再生医療等に用いるために人の細胞へ加工を加えたもののうち、再生医療等製品にあたらないものをいいます。
自由診療の幹細胞治療で投与される培養済みの細胞は、多くがこれにあたります。
- 再生医療等製品
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再生医療等製品とは、国の審査を経て製造販売の承認を受けた、細胞や遺伝子を用いた医薬品・医療機器に準じる製品のことです。
承認された製品は公的医療保険の対象になる場合があります。自由診療で行われる幹細胞治療とは、法律上まったく別の枠組みです。
- 自由診療 保険適用外
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自由診療とは、公的医療保険が使えず、費用の全額をご自身で負担する診療のことです。
医療機関が価格を自由に決められるため、同じ名前の治療でも金額が大きく異なります。
- 先進医療
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先進医療とは、公的医療保険の対象になるかを評価している段階の医療で、届け出た医療機関において保険診療と併用できる制度のことです。
自由診療とは別の制度です。厚生労働省が実施医療機関の一覧を公開しています。
- 治験
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治験とは、新しい薬や再生医療等製品について、国の承認を得るために有効性と安全性を確かめる臨床試験のことです。
自由診療として費用を払って受けるものではありません。
- 臨床研究
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臨床研究とは、人を対象として、治療法や病気の原因などを調べるために行われる研究のことです。
自由診療として提供されているのか、研究として参加するのかで、費用の扱いも同意の手続きも変わります。
施設と品質管理
細胞をどこで、どう育てたのか。公式サイトで公開している医療機関は多くありませんが、確認する価値のある部分です。
- CPC 細胞培養加工施設/セルプロセッシングセンター
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CPC(細胞培養加工施設)とは、再生医療に使う細胞の分離・培養・加工・品質確認を行う専用の施設のことです。
医療機関が自ら加工する場合は届出、外部へ委託する場合は委託先が許可を受けていることが求められます。
- 院内CPC
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院内CPCとは、細胞培養加工施設を医療機関の中に設けて、採取から投与までを同じ施設内で行う形のことです。
院内にあること自体が治療の効果や安全性を保証するものではありません。当サイトが確認できた範囲では、院内CPCを公開している医療機関は全体の1割に届きません。
- クリーンルーム 清浄度
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クリーンルームとは、空気中のちりや微生物の数を一定以下に保つよう管理された部屋のことです。
清浄度はISOのクラスなどで表されます。公式サイトに数値を公開している医療機関はごく一部です。
- 無菌試験
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無菌試験とは、投与する細胞に細菌や真菌が混入していないことを確かめる検査のことです。
- マイコプラズマ否定試験
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マイコプラズマ否定試験とは、培養した細胞にマイコプラズマという微生物が混入していないことを確かめる検査のことです。
通常の顕微鏡観察では見つけにくいため、専用の検査が行われます。
- 凍結保存
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凍結保存とは、培養した細胞を超低温で凍らせて保管しておくことをいいます。
凍結せずに投与する方針の医療機関では、投与日を患者様の都合で変更できない場合があります。保管料が別途かかることもあります。
受け方・費用・安全性
実際に受けるとなったときに、書面と見積もりのどこを見るかに関わる言葉です。
- 投与経路 点滴/局所注射/点鼻
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投与経路とは、細胞や成分を体のどこから入れるかという方法のことで、点滴・局所注射・点鼻などがあります。
同じ治療名でも、投与経路が違えば費用も体への負担も変わります。届出の内容にも投与方法が記載されます。
- 総額
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総額とは、初診料・検査費・細胞の採取と培養・投与・再診までを含めた、実際に支払う合計金額のことです。
「1回◯◯円」の表示だけでは総額が分かりません。投与回数と、含まれていない費用を必ず確認してください。
- インフォームド・コンセント
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インフォームド・コンセントとは、治療の内容・見込み・危険性・ほかの選択肢について十分な説明を受けたうえで、患者様が納得して同意することをいいます。
再生医療では、説明文書と同意文書を用いることが求められます。受け取った書面は必ず保管してください。
- 有害事象
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有害事象とは、治療を受けた方に起きた好ましくない出来事すべてを指す言葉で、治療との因果関係が不明なものも含みます。
「副作用」より広い言葉です。因果関係が確かめられたものが副作用にあたります。
- 適応
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適応とは、その治療を受けることが適切と判断される状態や条件のことです。
持病や服用中の薬、妊娠の有無などによって受けられない場合があります。受けられない条件を公開している医療機関は多くありません。